シングル煙突と断熱二重煙突の違いは…?
薪ストーブに使用する煙突は2つに分類されます。「シングル煙突」と「断熱二重煙突」になります。
薪ストーブの設置工事はシングル煙突と二重煙突を組み合わせて使用します。
今回も薪ストーブ博物館(フィンランドの森)さんにご協力いただいて煙突について解説していただきました。
・スライド煙突の必要性
・シングル煙突と二重煙突のメリット・デメリット
・薪ストーブ設置工事の際のシングル煙突と二重煙突の使い分け方
煙突は薪ストーブ本体と同じぐらい重要な物になります。煙突の使い方を間違えると事故に繋がりますので、正しい知識を身に付けて薪ストーブを安全に楽しみましょう。
シングル煙突について解説
シングル煙突は一重の構造になっている煙突です。
まずはシングル煙突のメリット・デメリットについてお伝えします。
シングル煙突のメリット
・軽くて価格が安い
・薪ストーブの燃焼で煙突も熱くなる
薄い素材で軽く、その分価格も安いです。
シングル煙突のデメリット
・外気で冷めやすく、上昇気流(ドラフト)が弱くなる。
・タールが付着し易い。
・放熱性が高く、燃えやすい物が触れていると火事になる危険性がある。
シングル煙突の使い方
シングル煙突は断熱性は低いですが、煙突も熱くなり放熱性は高いです。
主に室内で使われます。
薪ストーブ側にシングル煙突が使われる事が多いです。
二重煙突と比べると安いですが、安全面から高品質な物を選びましょう。
シングル煙突は冷めやすいので、外気で煙突が冷やされると上昇気流(ドラフト)が弱くなってしまいます。
上昇気流が弱くなると薪ストーブが上手く機能しなくなり、煙が室内に出てきてしまったり、不完全燃焼を起こしてしまったりする事があります。
ススやタール等の汚れも溜まりやすいので、二重煙突と比べて煙道火災が起こりやすくなります。
その為シングル煙突は二重煙突と組み合わせて、薪ストーブ本体側に使用します。
スライド煙突について
スライド煙突はシングル煙突の一種で、薪ストーブとの接続部分に使用します。
・薪ストーブを分解せずに煙突掃除ができる。
・煙突や薪ストーブをいじる時に煙突トップから外さなくて済む。
スライド煙突が無いと薪ストーブをメンテナンスする際に煙突トップから外さないといけない場合もあります。
煙突を外せない場合、薪ストーブを分解して煙突掃除を行います。
※機種によって異なります。
↓ スライド煙突 が無かった為、薪ストーブ内部のパーツを取り外して煙突掃除を行う様子です。
断熱二重煙突について解説
断熱二重煙突は薪ストーブを安全に使用する為に必須な煙突です。
煙突内部が二重構造になっており、外側と内側の間に断熱材が入っています。
↓切断するとこのようになっています。
断熱材が入っていますね。
断熱二重煙突のメリット
断熱二重煙突のメリットについてお伝えします。
・断熱効果が高く、上昇気流(ドラフト)が強い。
・ススやタール等の汚れが付きにくい。
・シングル煙突よりも安全性が高い。
断熱二重煙突は熱を保ってくれるので、ドラフトが強く、薪ストーブが適切に燃えてくれます。
シングル煙突よりも煙突内の汚れが付きにくいのも特徴です。
そして、シングル煙突よりも安全性は高いです。
※可燃物との離隔には注意しましょう。
断熱二重煙突のデメリット
断熱二重煙突のデメリットについてお伝えします。
・重い。
・値段が高い。
・劣化の判断が難しい。
断熱二重煙突のデメリットはあまりありません。
二重煙突は高価ですが、安全面を考慮すると断熱二重煙突をオススメします。
断熱二重煙突を使う箇所は下記で説明します。
設置工事での煙突使い分け
薪ストーブの煙突設置工事では、シングル煙突と断熱二重煙突の両方を使用します。
↓太い部分が断熱二重煙突で、細い部分がシングル煙突です。
屋根との貫通部分は断熱二重煙突を使用します。
↓屋外は断熱二重煙突を使います。
壁出しの場合も壁との貫通部分・屋外部分は断熱二重煙突です。
壁出し煙突設置の詳細はこちら↓
薪ストーブの煙突設置は屋根出しがいいの?壁出しがいいの?
↓こちらは太い部分(断熱二重煙突)の下の方にスライド煙突が使われています。
二重煙突のスライド煙突もありますが、タール等の汚れで外しにくい場合が多いです。
シングル煙突のスライド煙突の方が外す時に楽です。
↓薪ストーブとの接続部分はシングル煙突です。
シングル煙突を使うことで室内に熱が伝わりやすくなります。
シングル煙突は煙突の劣化具合の判断がし易いです。
二重煙突はどのくらい劣化しているのか判断が難しく、劣化に気が付かないことがあります。
煙突は非常に長い年数使用できますが、一応消耗品ではあるので劣化したら取替えをしましょう。
煙突トップについて
煙突のトップは大きく分けて3種類ございます。
煙突トップについてはこちらで解説しています。↓
煙突設置に不安な時は…
自分で煙突を設置して火事になってしまっては大変です。
安全面を考えると煙突の設置は専門店に任せた方がオススメです。
薪ストーブの機種や建物の構造によって必要な煙突の種類や本数は変化します。
中古別荘を買ったら薪ストーブが付いていたけど安全なのかな…?
薪ストーブ博物館(フィンランドの森)では、既に薪ストーブを所有している場合でも点検の対応をしてくれます。
煙突設置に不安な時は薪ストーブ専門店に相談に行きましょう。