皆さんは触媒式の薪ストーブをご存知でしょうか?
触媒式の薪ストーブには触媒(キャタリティックコンバスター)といったパーツが搭載されています。
今回は、触媒式の薪ストーブとはどんな物なのか解説します。
・触媒式薪ストーブの操作方法
・触媒の寿命と交換方法
薪ストーブの触媒(キャタリティックコンバスター)とは
ダッチウエストというメーカーが世界で初めて触媒(キャタリティックコンバスター)を搭載した薪ストーブを開発しました。
触媒が搭載されているダッチウエストの機種は「フェデラルコンベクションヒーター」、「セネカ」「セコイア」になります。
フェデラルコンベクションヒーター↓
他にはバーモントキャスティングスの「アンコール」、「デファイアント」「イントレピッドⅡ」に触媒が搭載されています。
アンコール↓
触媒のサイズや大きさ、設置されている場所は機種によって異なります。
こちらがフェデラルコンベクションヒーターの中にある触媒です。↓
火室で薪を燃やすと煙が出ます。この触媒を煙が通る事で綺麗な煙を排出する事ができます。そして煙の臭いも防ぐことができます。
触媒があることで燃焼効率も良くなるので、薪の消費量を抑える事もできます。
こちらの動画で触媒について分かりやすく解説されています。
触媒は急激な温度変化があると壊れてしまいます。
そして、触媒にススやタールが詰まってしまうと薪ストーブが正常に機能しません。
触媒式の薪ストーブはパーツが多く、メンテナンス性は良くないです。
触媒式の薪ストーブは針葉樹をメインの燃料としたい方には不向きです。住宅地等でできるだけ綺麗な煙を出したい方に向いている機種となります。
メリット
・綺麗な煙を排出できて臭いも防ぐことができる。
・燃焼効率が良くなり薪の消費量を抑えることができる。
デメリット
・急激な温度変化で触媒が壊れてしまう。
・ススやタール等の汚れが詰まると薪ストーブが正しく機能しなくなる。
・燃焼時にダンパー操作が必要。
・パーツが多いのでメンテナンスに手間がかかる。
触媒式薪ストーブの操作方法
触媒式薪ストーブは操作方法が少し特殊です。
通常の薪ストーブと同じように着火時は一次燃焼用の空気を全開で取り入れます。
こちらは一次燃焼用の空気調整レバーが閉じられている状態です。(フェデラルコンベクションヒーター)↓
レバーを回して一次燃焼用の空気を炉内に送り込みます。
一次燃焼についてはこちらで解説しています。↓
薪ストーブのクリーンバーン燃焼について解説 二次燃焼・三次燃焼とは何?
ダンパーをレバーで操作して燃焼方法を切り替えます。
ダッチウエスト「フェデラルコンベクションヒーター」のダンパー操作のレバーは丸で囲んでいる部分です。「バイパスダンパー」という名称です。↓
着火時は煙を触媒に通さず直接煙突に流します。
バイパスダンパーを全開にします。
フェデラルコンベクションヒーターの場合はレバーを手前に回します。
↓バイパスダンパーが全開の状態
※触媒が搭載している場所・構造は機種によって異なります。写真はイメージです。実際の構造とは異なります。
バイパスダンパーを全開にする以外は他の薪ストーブと焚き付け方法は一緒です。
焚き付け方法はこちらで解説しています。↓
天板の温度が220度に達したらダンパー操作のレバーを閉めます。
バイパスダンパーを閉めると触媒に煙が通って再燃焼してから排気されます。
※写真はイメージです。実際の構造とは異なります。
触媒は天板の温度が220度で機能します。
薪ストーブ用の温度計を使ってしっかりと温度管理を行いましょう。
天板の温度が300度以上になると本体が壊れてしまう場合があります。
※天板の温度が過度に上がらない機種もあるので注意しましょう。
フェデラルコンベクションヒーターの場合はこちらの「コンバスターエアーダイヤル」で触媒部分の空気(2次燃焼用)を調整します。本体の側面にダイヤルがあります。
エアーダイヤルを手前に回すと多く空気が入ります。
触媒式の薪ストーブはダンパー操作で煙の流れる方向を切り替えるので、非触媒の薪ストーブと比べると少し手間はかかります。
レバーやダイヤル等の操作方法は機種によって異なります。ダッチウエストはメーカーがネット上に説明書をアップしているので、説明書を持っていない方は確認してみましょう。
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触媒の寿命と交換時期
触媒の種類によって寿命は異なります。
↓こちらはセラミック製の触媒です。
ダッチウエストの機種に対応したステンレス製の触媒は、メーカーでは5~6年間(約12,000時間)の仕様が目安と記載があります。
こちらがステンレス製の触媒です↓
ダッチウエストの機種に対応したステンレス製の触媒は、メーカーでは7~9年間(約18,000時間)の仕様が目安と記載があります。
ステンレス製の方が寿命は長く、触媒の効果も良いです。
こちらはバーモントキャスティングス「デファイアント」の触媒です。↓
こちらの触媒は、メーカーでは3~4シーズン(約10,000~12,000時間)の使用が目安と記載があります。
実際に触媒式薪ストーブを使用してみた感覚としては、3~5年での交換を考えておくといいですね。
※薪ストーブの扱い方や頻度等によって交換時期は変化します。
こちらはフェデラルコンベクションヒーターの触媒です。
触媒の穴は等間隔の大きさになっていますが、この穴の大きさが等間隔でない場合は破損しています。
ススやタール等の汚れが付いて穴が詰まっている時は触媒の掃除をしましょう。
触媒の交換時期は、「穴の大きさが等間隔でない」時や「割れや欠落がある」時です。
触媒の掃除・交換方法
触媒はススやタール等が詰まってしまったら掃除しましょう。
※触媒に割れや欠落がある場合は新しい物に交換が必要です。
ダッチウエストのフェデラルコンベクションヒーターで説明します。
旧タイプの機種は天板を開けて触媒を取り出します。現行品は天板を取り外します。
触媒を取り出す時にインテラムガスケットが破れて壊れてしまうので、インテラムガスケットを事前に準備しておきます。
インテラムガスケットとは何かは下記で説明します。
・インテラムガスケット ・歯ブラシ(やわらかいの) ・灰専用掃除機 ・紙テープ
セラミック製の触媒とインテラムガスケットは衝撃に弱いので注意して扱いましょう。
柔らかいブラシでこすってススやタールを落とします。柔らかい歯ブラシがオススメです。
セラミック製の触媒は固いブラシでこすると壊れてしまうこともあるので気をつけましょう。
ススやタール等で真っ黒に汚れて詰まってしまっています↓
歯ブラシで汚れをこすったら灰専用掃除機で吸います。
掃除が終わったら触媒に新品のインテラムガスケットを取り付け、触媒を元に戻します。
こちらがインテラムガスケットです。↓
触媒の周りに取り付け、触媒と薪ストーブ本体の隙間を埋めます。触媒部分の気密性を良くする為のパーツです。
インテラムガスケットは破けて壊れやすいので慎重に扱いましょう。今回インテラムガスケットを手に取った時も破れそうになりました。
インテラムガスケットを触媒にくっつける時はマスキングテープを用意します。
触媒にインテラムガスケットを巻いてマスキングテープで止めます。
後はインテラムガスケットを壊さないように注意して薪ストーブ内に戻すだけです。マスキングテープは薪ストーブを使う時に燃えて無くなるので貼ったままで大丈夫です。
掃除や交換の具体的な様子は今後交換時に追加します。
触媒式薪ストーブのまとめ
触媒式薪ストーブは他の薪ストーブと比べると少し手間がかかりますが、煙が触媒を通る事により綺麗な煙を排出する事ができます。
こんな方には触媒式薪ストーブが向いています。
触媒式薪ストーブが向いている方
・綺麗な煙を排出し、煙の臭いも抑えたい方
・広葉樹をメインの燃料として使い、薪の消費も抑えたい方
・薪ストーブを手間暇かけ、メンテナンス等も自分でこだわって扱いたい方