薪ストーブを安全に生涯使用するには、定期的な点検やメンテナンスが不可欠です。
メンテナンスを怠ると、本体の劣化を早め、最悪の場合は煙道火災を起こしてしまうこともあります。
薪ストーブを買ったけど点検やメンテナンスって何をするの?
今回は、薪ストーブの点検・メンテナンスについてお話します。
薪ストーブ博物館(フィンランドの森)さんにご協力していただき、薪ストーブの点検やメンテナンスについてお伺いしました。
(煙突掃除、コーキング材・ガスケット・触媒・本体・ガラス・灰の確認)
煙突掃除
定期的に煙突掃除をしないと煙突内部が詰まってしまい大変危険です。
最低でも年に1回は煙道掃除を行いましょう。煙突が詰まっていると煙道火災を引き起こす可能性もあります。
煙突が詰まっていると薪ストーブもうまく機能してくれません。
煙突掃除は自分でも行うことは可能ですし、専門店に頼むこともできます。
煙突掃除の値段は、場所や取り付け方によって異なります。
特に足場を組んでの作業になると、値段が高くなります。
専門店に頼むとおおよそ3万円~6万円ぐらいです。
屋根の上に登って掃除をする場合と、屋根に登らずストーブ本体側から掃除をする場合があります。
屋根のコーキング材の確認
屋根の上に登っての確認です。3年に1回を目途にコーキング材の確認をします。
コーキング材は煙突と雨仕舞部材の接合部分に使われます。
雨仕舞(あまじまい)とは、建物に雨が入らないような構造や仕組みのことを言います。
コーキング材が劣化していると雨漏りに繋がりますので、劣化具合をチェックします。
コーキング材にヒビや割れがあったら一度剝がします。
そしてコーキング材を塗り直します。
ガスケットの確認
ガスケットは薪ストーブを密閉させる役割をします。
ガスケットが劣化するとドアに隙間ができます。その為、空気調整が難しくなります。
ガスケットは消耗品です。消耗している場合は交換が必要です。
※触媒は触媒式の薪ストーブのみ使用します。
↓こちらはガスケットを交換した時の写真です。ロープのような物がガスケットです。
ガスケットを交換する際は薪ストーブ用の接着剤が必要です。
シリコンシーラントは、薪ストーブにガスケットを付ける為の耐熱ボンドです。
触媒の確認
触媒の確認は触媒式の薪ストーブのみ行います。
この触媒は、排出ガスを低減させる役割を果たします。より環境に良いストーブを使用されたい方は、触媒式がお勧めです。
↓天板を開けると触媒が見えました。
触媒もガスケット同様消耗品になります。こちらの写真の触媒は、もう少しで交換が必要です。
触媒式の薪ストーブで針葉樹を使用できない理由は、針葉樹を燃料に使うとこの触媒を壊してしまうからです。
↓薪燃料についての解説はこちら
広葉樹と針葉樹の薪燃料としての特徴は?針葉樹は薪ストーブに使用してOKなの?
機種によっては触媒の周りのもガスケットが使われています。このガスケットの劣化も確認しましょう。
お使いの触媒が使用できる状態か分からない際は薪ストーブ専門店に相談をオススメします。
割れ・錆びの確認
薪ストーブ本体や内部のパーツに割れが無いか確認しましょう。
本体が割れたまま使用するのは大変危険です。
こちらの薪ストーブは高温で使い続けて本体が割れてしまっています。
薪ストーブは本体温度が200度~300度ぐらいが適温です。(機種によって異なります)
本体が割れると新しく薪ストーブを買い直した方が修理するより高くなってしまうことが多いです。
薪ストーブを使用する際は必ず薪ストーブ用の温度計を使用しましょう。
こちらの薪ストーブは錆びてしまっています。
薪ストーブは鋳鉄や鋼板でできているので、手入れをしないと錆びていきます。
料理の際の水分は特に注意しましょう。
ワイヤーブラシで錆びを落とします。
錆を落としたらストーブポリッシュ等で補修をします。
錆びの具合によっては、ポリッシュの前に塗装を塗り直します。
ストーブポリッシュはストーブの素材や色によっては使用できない物もあるので注意が必要です。
どのストーブポリッシュを使用したらいいか分からない場合は、本体を購入した薪ストーブ専門店に相談しましょう。
オリーブオイルやクルミ等の植物性油は錆び防止に有効です。
ガラスのヒビ・割れを確認
薪ストーブのガラスにヒビや割れが無いか確認します。
割れがあると煙が室内に流れてきたり、炎が飛び出してくる可能性もあります。
ガラスが割れてしまった場合は、交換が必要です。
薪ストーブのガラスは通常では手に入りづらいので、専門店に相談して購入しましょう。
修理が可能な場合が多いです。
灰の手入れ
薪ストーブを使用すると灰が溜っていきます。
炉内と灰受けの灰の量を確認します。(灰受けが無い薪ストーブもあります)
↓灰受けの灰を捨てます。
灰を捨てる際は「灰入れバケツ」を使用します。
こちらの灰入れバケツは、二重底で床に熱が伝わりにくい構造になっています。
灰が溜って空気の流れが悪くなっていないか確認します。
ロストル(炉内の底の部分)の穴から空気が流れます。
灰を全部捨ててしまうのはNGです。
灰は3cm程溜まっているのがちょうどいい量です。
薪ストーブ用のスコップを使って、灰の量を調整します。
最後に
薪ストーブを安全に、長期的に楽しむには、定期的にメンテナンスをしていきましょう。
煙突掃除はご自身でもできますが、薪ストーブ博物館では煙突掃除の際にストーブ本体の点検もしますので、プロに頼むと安心です。
消耗箇所や定期メンテナンスが必要な箇所を理解して、安全に薪ストーブを楽しみましょう。
薪ストーブ専門店