薪ストーブは電気ストーブのようにすぐには消せないし、火事が心配…
薪ストーブは炉内の火が消えるのに時間がかかるので、火事にならないか不安になりますよね。
火災の原因を大きく分けると「煙道内火災」と「低温炭化」、「不適切な灰処理」になります。
今回は火災を防ぐ為に「煙道火災」と「低温炭化」、「不適切な灰処理」について解説します。
・「低温炭化」による火災とは、低温炭化の防ぎ方
・「煙道内火災」による火災とは、煙道内火災が起こった場合の対処方法・防ぎ方
・灰の正しい処理方法を解説
薪ストーブの安全性について
薪ストーブは、適切な設置と適切な使用・メンテナンスを行っていれば安全な暖房器具と言われています。
適切な設置
薪ストーブは煙突の設置工事が不可欠です。設置条件によっては、炉台&炉壁の設置も必要です。
工務店でさえも薪ストーブの知識が無い為に危険な設置をしていた場合も多々ありました。
薪ストーブは建築基準法や煙突のドラフトの強さ、煙突の種類、設置後のメンテナンスのしやすさ等を考えて設置します。
全てシングル煙突でDIYで設置して壁が焦げて火事になりそうなお宅もありました。
薪ストーブが正常に機能し、安全に使用できるような設置が不可欠です。
安全を確保する為にも設置工事は薪ストーブの専門店に依頼しましょう。
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適切な使用・メンテナンス
薪ストーブはメンテナンスをしながら使っていく物です。
特に「煙突掃除」を怠ると「煙道火災」に繋がります。
安全に使用するには薪ストーブの点検・メンテナンスを欠かさず行いましょう。
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「低温炭化」による火災
炉台・炉壁を正しく設置していれば基本的には問題ないですが、薪ストーブ周辺の熱の当たり方には注意が必要です。
「低温炭化」とは
長い期間、薪ストーブからの熱が壁や柱等の木材に当たり続けると、木材の水分が年数を重ねるごとに蒸発していきます。
木材は、通常は400度ぐらいの熱で発火するのですが、熱が当たり続けると100℃から150℃ぐらいの温度でも発火してしまいます。このような状態の事を「低温炭化」と言います。
低温炭化になると壁がいきなり燃えてしまいます。
「低温炭化」を防ぐには
「低温炭化」を防ぐには、薪ストーブの正しい設置が必要です。
こちらは炉壁を設置した時の写真です。低温炭化にならないように、2.5cmの隙間を作って設置しています。
隙間に空気が流れるので、炉壁が熱くなっても壁には熱がいかないようにしてあります。
薪ストーブ周辺に長年木材などの可燃物を置いている場合は、低温炭化で発火しないように注意しましょう。
薪ストーブ・煙突は壁などとの離隔を計算して設置します。機種によっても放熱量はことなります。
薪ストーブの知識の無い方の設置は危険ですので、低温炭化にならないように専門店に設置してもらいましょう。
・薪ストーブ・炉台&炉壁(必要な場合)を適切に設置する。
・長い期間薪ストーブ周辺に可燃物を置かない。
「煙道火災」による火災
煙道火災は煙突内で起こる火災です。
薪を燃やすと煙突にススやタールが付着していきます。このススやタールに引火して煙突内部で火災が起きます。
煙突が赤くなって炎が噴き出してくる事もあります。周りに可燃物があったら危険です。
煙道内火災は煙突が揺れながら「ゴオゴオ」と大きな音が鳴り大変怖いです。
煙突内火災が起こってしまったら
煙道周辺の可燃物を下げます。
「ゴオゴオ」と音が鳴って怖いかとは思いますが、収まるまで待ちます。
可能であれば空気調整レバーを絞って空気が入らないようにします。
水をかけると薪ストーブ本体が割れてもっと危険になるので、水はかけていけません。
「チムフェックス」という商品名の煙道火災専用消化器が販売されています。
※通常の消化器の使用はしないでください。
チムフェックスを着火させて薪ストーブ炉内に入れて使用します。
英語ですが、チムフェックスを使用した動画がアップされていました。
チムフェックスは煙をたくさん出して煙道内火災を鎮火します。
・薪ストーブ周辺の可燃物を下げる。
・できれば空気調整レバーを絞って空気を入れないようにする。
・火災が収まるまで待つ。(持っていたら煙道火災用消化器を使う)
「煙道内火災」の防ぎ方
薪ストーブは最低でも1年に一回の煙突掃除が不可欠です。
煙突内のススやタール等の汚れを取り除くことで煙道内火災を防ぐ事ができます。
ススやタール等の汚れが付きやすくなる場合をまとめてみました。
ススやタール等の汚れが付きやすくなる場合
・壁出しで煙突を設置している。→詳細
・針葉樹等のススが出やすい薪を使用している。→詳細
・薪ストーブに適した薪を使用していない。→詳細
・シングル煙突の本数が多い。→詳細
・低温での燃焼や不完全燃焼を起こしている。→詳細
ススやタール等の汚れが付きやすい場合は、このような時になります。
詳細のクリック先でそれぞれの解決方法を解説しています。
ススやタール等の汚れを多く出している場合は煙突掃除の回数を増やす等の対策をしましょう。
薪ストーブの煙突掃除はご自身でもできますが、専門店に頼むこともできます。
灰の処理方法について
薪ストーブを使用していると灰が出てくるので、灰の処分が必要です。
灰が熱を持っている時に園芸等で使用してしまい、落ち葉に引火してしまったといったケースがありました。
灰が冷めるのは最低48時間と言われています。
火災にならないように灰入れバケツに入れる等して保管し、確実に冷めてから処分しましょう。
灰の処分方法の詳細はこちらで解説しています。
薪ストーブによる火事についてのまとめ
薪ストーブは、適切な設置と適切な使用・メンテナンスを行っていれば安全な暖房器具と言われています。
安くDIYで設置して火災になってしまったら元も子もありません。
薪ストーブを安全に楽しむには、薪ストーブ専門店に適切な設置をしてもらいましょう。
薪ストーブはメンテナンスをしながら使う物です。
火災等の事故を防ぐ為にも、薪ストーブの使用で不安な時には薪ストーブ専門店に相談してみましょう。