今回は、薪ストーブの燃料である薪についてのお話です。
適切でない薪を使用すると薪ストーブ本体を壊してしまう事もあるよ。
この記事の内容
・広葉樹と針葉樹の違いについて
・広葉樹と針葉樹の薪ストーブ燃料としての使い分け方
・薪ストーブに針葉樹がNGな理由
・広葉樹と針葉樹の特徴を活かした焚き付けのやり方
薪ストーブを安全に使うためにも薪の知識をしっかりと身に付けましょう。
薪の種類について
まず初めに、薪の種類についてお伝えします。薪の種類を知っておかないと、最悪の場合は薪ストーブ本体を壊してしまうことがあります。
薪の種類を知る事は薪ストーブを使用する初めの基礎知識になります。
薪は、広葉樹と針葉樹の2種類に分類されます。
広葉樹とは?
広葉樹は簡単に言うと葉が大きく広がっている木です。
冬になると葉は落ちます。
ブナ、クヌギ、カシ等が広葉樹に分類されます。
桜も広葉樹になります。
針葉樹とは?
針葉樹の特徴は、葉が尖っている事です。そして、基本的には冬でも葉が落ちません。
写真は冬に撮った針葉樹の様子です。
スギやマツ等は針葉樹に分類されます。
※イチョウは葉が大きく葉が落ちますが、針葉樹になります。上記で特徴を述べましたが例外もあります。
針葉樹はよく建築の際に使用されます。
広葉樹と針葉樹の燃料としての特徴
薪ストーブの燃料として使う場合は広葉樹と針葉樹のそれぞれの特徴を理解しなければいけません。
この表に記載してある特徴は覚えておきましょう。
広葉樹 | 針葉樹 | |
重さ | 重い | 軽い |
燃焼速度 | ゆっくりと燃える | すぐ燃える |
ストーブ温度 | ゆっくりと上がる | 急に上がる |
着火のしやすさ | 難しい | 簡単 |
すすやタール等の汚れ | 少ない | 多い |
値段 | 高い | 安い |
通常の使用には広葉樹の薪
ほとんどの薪ストーブメーカーは広葉樹の使用を勧めています。広葉樹は汚れが出にくく、急激に温度が上がらないので、ストーブ本体を壊してしまう可能性が低くなります。
※広葉樹の薪を使用しても、薪ストーブ用の温度計は必ず使用しましょう。温度管理を怠ると薪ストーブを壊してしまう場合があります。
温度計の使い方については下記で説明しています。
広葉樹は煙突の中が汚れにくいので、掃除の頻度が針葉樹を使用する場合と比べると少なくなります。
※最低でも1年に1回は煙突掃除が必要です。
広葉樹はゆっくりと燃えるので、針葉樹と比べて薪入れの回数が少なくなります。
ゆっくりと燃える理由は、密度が高いからです。その分重量は重くなります。
着火時の薪は針葉樹が便利
着火時に広葉樹の太い薪だとなかなか火が付かない。(>_<)
針葉樹は油分が多く、火がつきやすいのが特徴です。その為、薪ストーブに着火させる時に適しています。
このような細い針葉樹の木は、本当に早く火が付くので着火時に便利です。
しかし、使い方を間違えると針葉樹を使用して壊してしまう薪ストーブのもあるので注意が必要です。
針葉樹を使用できない場合については下記で説明します。
広葉樹でも着火時に細い木と着火剤を使えば問題なく燃えてくれます。
針葉樹は使用してOKなの?
針葉樹を薪ストーブに使っていけないと言われているけど本当はどうなの?
針葉樹が薪ストーブに使ってはいけないと言われる理由はこの為です。
針葉樹の薪がNGと言われている理由
・急激に温度が上がるので本体が割れる可能性がある。
・触媒式の薪ストーブは触媒を壊してしまう。
・すすやタール等の汚れ成分が多く排出されるので、煙突が詰まりやすくなる。
しかし、薪ストーブ本体の構造と薪燃料の性質を把握していれば、針葉樹を使っても問題はございません。
薪ストーブで使用してはいけない薪に関してはこちらで解説しています。↓
急な温度変化に関して
針葉樹を使用すると急激に温度が上がるので、本体を壊してしまう可能があります。
しかし、温度管理さえ気を付ければ問題ありません。(※針葉樹の使用が禁止されている機種以外 )
薪ストーブは排気温度が200度~300度が適温です。
排気温度は薪ストーブ専用の温度計を使って測ります。※天板が過度に熱くならない機種があり、温度計の置き方は注意が必要です。上記のページで解説しています。
針葉樹を使っても、排気温度を200度~300度に保つことができたら大丈夫です。※針葉樹の使用が禁止されている機種以外
廃材処分で針葉樹をガンガン使用したい方向けに、急激に温度が上がらないようになる薪ストーブもございます。
薪ストーブの用途に応じて必要な機種が異なるので、専門店で相談してみましょう。
触媒式の薪ストーブ
触媒式の薪ストーブはすすやタールが触媒に付着すると、触媒が壊れてしまいます。
触媒式の薪ストーブは、メーカーでは針葉樹の使用を禁止しています。
こちらが触媒式薪ストーブの触媒です。触媒は消耗品になります。
この触媒部分で煙を再度燃焼させ、煙に含まれる汚れ成分が少なくすることができます。
クリーンな燃焼方式(二次燃焼・三次燃焼・四次燃焼)についてはこちら
針葉樹を使用する場合は、お使いの薪ストーブが触媒式でないことを確認しましょう。
ご使用している薪ストーブが触媒式かどうか不明な時には販売店に聞いてみましょう。ストーブを壊してしまってからでは遅いです。
煙突が汚れやすくなる事に関して
針葉樹はすすやタール等の汚れ成分を多く排出するので、煙突が汚れ易くなります。
しかし、定期的な煙突掃除をしていれば問題ありません。
針葉樹だけをガンガン使っていたら年に何回も掃除をしないといけないかもしれませんが、広葉樹と針葉樹を合わせて上手く使っていたら、年に1回の掃除で済む場合が多いです。
設置方法によっては自分でも掃除はできますので、定期的なメンテナンスをきちんと行いましょう。
広葉樹と針葉樹でオススメな火の付け方
それぞれの特徴を活かして上手に火を付けましょう。
※こちらの方法は触媒式でない薪ストーブの場合です。
ガラスを磨き、灰を調整したら着火します。空気調整レバーは最大に開けておきます。
【着火時】
ダンボールとチャッカマンを用意します。ダンボールは細かくします。
細い針葉樹はすぐに火がつくのでダンボールで大丈夫です。
煙をあまり出したくない場合や着火を失敗したくない方は着火剤を使いましょう。
炉内で薪を組む土台を作ります。サイド部分はしっかりした広葉樹で土台を作りました。
細めの針葉樹を下の方に組んでいきます。
その中に少し太めの針葉樹や細めの広葉樹を置きます。
組んだ薪の一番下にダンボールを入れます。最初に置くといいです。
着火します。
【薪に確実に火が付いたら】
広葉樹の少しだけ太めの薪を投入します。
【熾きの状態になったら】
太い広葉樹の薪を入れてもOKです。
広葉樹と針葉樹の特徴を活かした燃し方まとめ
・着火時には針葉樹を使う。
・薪にきちんと火が付いたら細めの広葉樹を使う。
・熾きの状態になったら太い広葉樹を使ってゆっくりと燃やす。
※触媒式薪ストーブの場合を除く
薪の購入方法
薪ストーブ博物館(フィンランドの森)では薪ストーブに適した薪(広葉樹)の販売を行っています。
薪ストーブ燃料の広葉樹と針葉樹まとめ
広葉樹と針葉樹の薪の特徴についてご理解いただけましたでしょうか?
針葉樹も使いたい場合は、まずお持ちの薪ストーブが針葉樹も使って大丈夫なのか確認しましょう。
触媒式だった場合は針葉樹の使用は止めましょう。
触媒式でない場合は、針葉樹の性質を理解して使用しましょう。
温度管理、メンテナンスをしっかりしていれば大丈夫です。
ストーブ本体が壊れてしまうと修理よりも買い直した方が安くなる場合もありますので、正しい知識を身に付けて薪ストーブライフを楽しみましょう。